バリ島の宗教
バリ島の宗教と言えば、バリ・ヒンドゥー教です。
しかし、インドネシアはイスラム教だから、バリ島もイスラム教と思われている方も多いと聞きます。
なぜ、バリ島だけヒンドゥー教なのか?
そもそも、バリヒンドゥー教ってどんな宗教なのか?
といった疑問にお答えしていきます。
<目次>
なぜバリ島だけヒンドゥー教なのか?
最初に、インドネシア=イスラム教国と思われている方が多いようですが、これは間違いです。インドネシア共和国の「建国五原則(Pancasila・パンチャシラ)には「唯一神の信仰」と書かれていますが、これは「イスラム教の信仰」ではありません。
唯一神宗教なら、イスラム教でなくてもいいのです。
注)現在インドネシア共和国が公式に認めている宗教は、イスラム、仏教、プロテシタント、カソリック、ヒンドゥー、儒教であり、無神論は許されていません。
確かに、インドネシア全体で見れば、国民の大多数(80%とも90%とも言われています)がイスラム教徒ではありますが、その他の宗教を信仰している国民もいるのです。
さて、バリ島がヒンドゥー教の理由を説明していきますが、それには歴史を振り返らなくてはいけません。
インドネシアは、古くからインドとの交易がありました。
交易により、多くの品物と一緒に、人や文化、宗教もインドからインドネシアに伝わってきました。
その事により、ジャワ島を中心に現在のインドネシア各地にインドの宗教、ヒンドゥー教や仏教が広がっていったのです。現在でも、ジャワ島には仏教寺院(ボロブドゥール遺跡)やヒンドゥー教遺跡(プランバナン寺院)にその当時の様子を見ることができます。
その後、マレー半島経由でイスラム教が伝わってきました。拡大するイスラム勢力により、16世紀ジャワ島のヒンドゥー国家マジャパヒト王朝が倒され、王家、貴族、僧侶たちがバリ島に逃れてきました。マジャパヒト王朝を倒したイスラム勢力でしたが、バリ島だけは攻略できず、こうしてイスラム教徒が多いインドネシアの中にあって、バリ島だけヒンドゥー教の島となったのです。
バリ・ヒンドゥー教はどんな宗教?
バリヒンドゥー教は、インドから伝わってきたヒンドゥー教に昔からあった土着宗教が混ざってできた独自の宗教です。
お供え物の宗教
バリヒンドゥー教を表す言葉として「お供え物の宗教」があります。
毎日のお祈りや、満月、暗月のお祈り、お祭りごとなどには、必ずお供え物が必要となります。
日ごろのお祈りには、ココナッツやバナナの葉、お花、ちょっとしたお菓子などを使った簡単なお供え物を使いますが、お寺でのお祈りやお祭りごとの時は果物や鶏、豚などを備えます。
家の前の道路で、草花で作った小さなお供え物を地面に置いてお祈りしているところを見られた方もいるかと思います。
唯一神の宗教
バリヒンドゥー教がインドのヒンドゥー教と大きく違うのは、唯一神の宗教ということです。インドヒンドゥーには、シヴァ神をはじめ多くの神様がいますが、バリヒンドゥーは、神様はただ一つなのです。
意外かと思われた方も多いでしょうが、それは、こんな理由からです。
先ほど説明したインドネシアの建国五原則には「唯一神の信仰」と書かれています。つまり、ヒンドゥー教のような多神教は、インドネシアでは公認されないのです。
これでは、バリヒンドゥーを信仰しているバリ島の人たちは困ってしまいます。
そこで、バリヒンドゥー教はサン・ヒャン・ウィディという唯一神を信仰する宗教で、シヴァ神やヴィシュヌ神は、サン・ヒャン・ウィディ神の化身である、ということにしました。
だから、バリ・ヒンドゥー教は唯一神教なのです
アガマとアダット
バリ島ではアガマとアダットという言葉を使います。
アガマとは信仰のことで、「サン・ヒャン・ウィディという神を信じ、祈りをささげること」です。
それに対し、日ごろのお供えやお祭りごとなどはアダット(習慣)として考えています。
カースト制度
バリヒンドゥー教には、インドのヒンドゥー教のように、カースト制度があります。
ただし、インドほど厳しいものではなく、現代では、名前の付け方や、宗教行事にその名残を見るだけです。
バリ島のカーストは以下の4つの階級に分かれます。
- ブラフマ(僧侶階級)
- クシャトリア(王族階級)
- ウエシャ(貴族階級)
- スードロ(平民)
現代では、階級による職業の差別などは全くありませんが、王族階級や貴族階級の人は、平民階級よりも土地や資産を多く持つ人が多く、また昔から高等教育を受ける機会も多かったので、政治家や大企業のオーナーには、この階級の人が多いです。
バリ島のラマダーン
イスラム教徒にとって、とても大切なラマダーン。今年もラマダーンの季節がやってきました。2016年は6月6日から7月5日がラマダーンと言われています。
バリ島はヒンドゥー教の島ですので、ラマダーンは関係ありませんが、国民の大多数がイスラム教徒であるインドネシアの島ですので、無関係ということはありません。
今回は、バリ島におけるラマダーンについて解説していきたいと思います。
ラマダーンについて、詳細は以前このブログで開設させていただきましたので、よろしければ以下の記事も合わせてお読みいただけると嬉しいです。
<目次>
ラマダーン=断食ではありません
ラマダーン=断食と捉えられている方も多いのですが、ラマダーンとは暦の月の名前です。イスラム暦とも言われるヒジュラ暦の9番目の月をラマダーンと言います。
そして、このラマダーン月の一ヶ月間、イスラム教徒は断食を行います。そのため、ラマダーン=断食と思われている方が多いのです。
ちなみに、インドネシア語で断食のことは「プアサ(Puasa)」と言います。
ラマダーンはいつから?
ヒジュラ暦は完全な太陰暦です。太陰暦とは月の満ち欠けを基とした暦で、1か月が29日の月と30日の月があります。
また、1年は約354日となるため、太陽暦に対して毎年10-11日ずつ、ずれていきます。
今年(2016年)のラマダーン月は6月6日から7月5日と予想されています。
予想と書いたのは確定ではないのです。天体観測技術が発達した現代では月の満ち欠けは計算できるのですが、ヒジュラ暦は昔ながらの目視観測による暦となります。つまり、月の満ち欠けを目で見て、月の変わりを判断します。
そのため、曇りや雨で月が観測できない場合は、ラマダーン月に入ったかどうかがわからないということです。
ずっと断食しているの?
ラマダーンの一ヶ月間、イスラム教徒は断食を行います。
断食といっても、日中のみで、日没後から翌日の夜明けまでは飲食ができます。
とはいえ、暑い日中、水も飲めないのですから、かなり辛いことだと思います。
また、ラマダーン期間中は性的な行為も禁じられています。
バリ島でのラマダーン
バリ島の住民の大多数は、ヒンドゥー教徒ですので、イスラム教の断食は行いません。
しかし、バリ島内には他の島出身のイスラム教徒の方もおり、真面目にラマダーンの期間中断食をおこなう方もいます。特に、デンパサール内にあるジャワ人が多いエリアでは、断食をされている方が多いそうです。
とはいえ、通常の旅行者の皆さんに影響がでることはありません。断食期間中だからと、気になさることは全くないのです。
バリ島以外のエリアでは
ロンボク島やジャワ島などはイスラム教徒が多い島ですので、そこに行かれる場合はちょっと注意が必要です
観光客向けのホテル、レストランは通常通りです。
ただし、ローカルエリアでは、断食をしている方が多いので、日中は閉まっているレストランが多いです。
また、日中、人前で飲み食いをするのは避けた方がいいとされています。
ギリ3島(ギリメノ、ギリアイル、ギリトラワンガン)は、イスラム教徒の方が多いエリアですが、観光地ですので、あまり影響は出ないそうです。
まとめ
以上のことをまとめますと、以下のようになります。
- 2016年の断食月(ラマダーン)は6月6日~7月5日
- 断食中、イスラム教徒の方は日中は飲食をしない。
- バリ島の観光エリアはラマダン月でも普段通り
- バリ島でもジャワ人が多いエリアや、バリ島以外の島に行く場合はちょっと注意が必要
裏話
イスラム教徒にとって、とても大切なラマダーン月の断食。
イスラム教徒なら、だれでもラマダーン中は断食をしていると思いきや・・・
中には、ラマダーン中でも断食をしていない人がいます。もともと、老人や子供、妊婦や病人、肉体労働者などはラマダーン中でも断食は免除されていますが、健康な成人でも、断食をさぼっている方もいます。
特に、バリ島はイスラム教の人が少ないので(監視がゆるいので)、結構さぼっている人も多いそうです
それと、旅人は断食を許される、という教えを使って、ラマダーン中バリ島に避難(?)してくるお金持ちの方もいるそうです・・・
あ、もちろん、大半のイスラム教徒の方々は、真面目に断食されていますよ。
あんまり教えたくないウブドの絶景ベジ・カフェ3選
バリ島で最近増えているのがベジタリアン・レストラン、ベジタリアン・カフェ。
世の中の健康志向にのっとり、ベジタブル=野菜メインのレストランやカフェがいたるところにあります。
中には、非ベジメニューもあるけど、ベジタリアン向けメニューもありますよ、ってところもありますが、非ベジメニューは一切なし、さらにビーガンやグルテンフリー、そしてロゥなど、ディープなベジカフェもございます。
<目次>
- ウブドはベジカフェ、ベジレストランが多い
- ザ・エレファント(The Elephant)
- モクサ・レストラン・ウブド(Moksa Restaurant UBUD)
- スイート・オレンジ・ワルン(Sweet Orenge Earung)
- まとめ
ウブドはベジカフェ、ベジレストランが多い
特にウブドはビーチエリアに比べてベジレストランやベジカフェが多いような気がします。というのも、ウブドと言えばヨギーニたちが集まる場所。さらにスピリチュアル系の方も多く、食べ物もベジタリアンなど健康志向が強いと(勝手に)思っています。
そして、ウブドは野菜がうまいっ!
ちょっと郊外に出れば、田んぼや畑が広がり、中には自家菜園でオーガニック野菜を育てているレストランもあります。
そんなウブドには、ガイドブックなどに載っているベジカフェ、ベジレストランがたくさんありますが、今回は、まだガイドブックに載っていない、絶景が楽しめるベジカフェ、ベジレストランをご紹介します。
あえて、場所はわかりずらく説明しておりますので、頑張って探してみてください。
ザ・エレファント(The Elephant)
こちらザ・エレファント・レストランは意外と簡単に見つけられます。
場所は、ウブド・サンギンガンのビンタンスーパーマーケットの斜め前。
こちらのレストラン、渓谷に向かって作られております。レストランはセミオープンで、目の前は渓谷!
そして、店内にはソファーなどが多く、リラックスできる空間です。
メニューはモーニングやブランチ、ランチが充実。もちろん、ベジなんですが、写真のように卵も使っているから、非ベジの人でも楽しめますよ。
モクサ・レストラン・ウブド(Moksa Restaurant UBUD)
Moksa Plant-based Restaurant and Permaculture
こちらのベジ・レストランの場所はちょっと難しいです。
ウブドの西、プネスタナン村とサヤン村の中間地点にあるのです。
敷地は広く、キッチンは建物の中にありますが、ダイニングはオープンエアーで、周囲は田んぼや畑が広がります。
こちらが、ダイニングからの眺めです。
手前の畑は、レストラン所有のもので、ここでオーガニック野菜を育てているそうです。
お料理はもちろん、ベジタリアン。新鮮で味の濃い自家製の野菜やテンペ、タフ(豆腐)などを使った料理になります。
味付けも絶妙で、非ベジの方でも満足してもらえると思います。
スイート・オレンジ・ワルン(Sweet Orenge Earung)
このワルンの場所の説明が一番難しいですね。
ウブドのプリルキサン美術館の横に、細い道があるのですが、そこを入っていきます。道は人一人がやっと通れるような細い道で片側は美術館の高い塀、もう片側は崖と少々危険な道です。
その道を数分歩くと・・・
こんな田んぼが広がるエリアに出ます。
周囲には建物はほとんどなく、見渡す限り田んぼです。最近、ウブドの田んぼも減ってきたと言われていますが、まだまだこんなエリアがあったんですね。
田んぼエリアに出ると、道は広くなり(といっても、車は通れませんけど)、歩きやすくなります。田んぼトレッキングを楽しむ白人さんたちもたくさんいました。
この道をずっと歩いていくとJl.カジェンにつながり、またウブド中心部に戻ってくるそうです。
この道の途中にスィート・オレンジ・ワルンがあります。
こちらは、ベジ専門ということではなく、ナシゴレンやミーゴレンといった通常メニューもあります。またガドガドやベジタブルカレーといったベジメニューもありますので、ベジな方も非ベジな方も楽しんでもらえると思います。
料理もおいしいのですが、それ以上のごちそうがこの風景。ずっと続く田園風景とそこを渡る風がすごく気もち良くて、いつまでもここにいたいって、思えるワルンです。
まとめ
今回は、まだ観光客に知られていない、ベジタリアン・レストラン、カフェを3つご紹介しました。ウブドはもちろん、ビーチエリアにも素敵なカフェ、レストランがいっぱいありますので、またの機会に、少しづつご紹介していこうと思います。
バリ島のグルメというと、シーフードやインドネシア料理が真っ先に浮かびますが、バリ島は野菜やフルーツもおいしいところです。肉、魚、といったグルメもいいですが、たまには、野菜中心のベジタリアン料理を楽しんでみませんか
ありました!デンパサール空港の荷物預かり所
バリ島から日本への帰国便は深夜出発が多いですね。ホテルのチェックアウトはたいていお昼なので、荷物をどこかに預けて、時間までバリ島を楽しみたいという方が多いと思います。
そんな時、活躍してくれるのが、手荷物預かり所です。
帰国時だけでなく、早朝到着して、ホテルチェックインまで時間がある場合など、手荷物預かり所があると便利なケースが多いです。
空港なら、どこでも手荷物預かり所があるはず・・・
しかし、デンパサール空港には、どこを探しても手荷物預かり所が見つかりません。
今回、空港に立ち寄る事がありましたので、徹底的に(というほど大げさではありませんが)探してきました~
<目次>
空港到着フロアーの位置関係
手荷物預かり所の場所を説明する前に、空港到着フロアーの位置関係について説明しますね。
入国審査、税関審査を終えた旅行客は、上の写真の左手出口から青い矢印の流れで出てきます。出口を出たところがミーティングポイント。お迎えのガイドさんやドライバーさん達がお客様のネームカードなどを持ってまっています。
ミーティングポイントは、柵で仕切られていますので、旅行客は赤い矢印の流れで移動していき、ショップが並ぶ通路を通り、上の写真の右手、緑の矢印の流れで、出てきます。
ここで、ガイドさんやドライバーさんと合流して、ホテルなどに移動していきます。
手荷物預かり所の場所
手荷物預かり所ですが、上の写真、緑色の矢印の横に、エレベーターがあります。
まず、このエレベーターをぐるっと回って裏側に移動してください
エレベーターの裏側に回ると、写真のようなバリ様式の門があります。
この門をくぐって外に出ます。
外に出ると、そこは駐車場になります。
ここを左手に行くと公共バス・トランスサルバギータの停留所となります。
サルバギータについては以下の記事で説明しておりますので、お時間があればご覧ください
手荷物預かり所は、ここを右手に進みます。サルバギータの停留所とは逆の方向です。
進んでいくと、フロアーの隅に、このようなブースが見つかります。
ここが、デンパサール空港の手荷物預かり所です。
営業時間&料金
さて、気になる営業時間と料金ですが・・・
営業時間は24時間、料金は、Rp50,000/1個・24時間だそうです。
荷物のサイズ制限はないそうですが、1個、24時間でRp50,000ということです。
ちょっと、わかりにくい所にありましたが、機会があれば使ってみてください
バリ島の火葬式(ガベン/プレボン)
先日(5月8日)にウブドで大きな火葬式(ガベン/プレボン)がありました。
多くの観光客やメディアが集まり、道路を封鎖して大変華やかな火葬式でした。
バリ島の宗教行事を紹介した文献や記事の中に必ず出てくるこの火葬式。いったいどんなものか?どのようにして行われるかを簡単に解説してまいります。
<目次>
火葬式ってなに?
火葬式とは日本でいうお葬式にあたるもので、バリ人にとって、とても大切な宗教儀式の一つです。
バリ・ヒンドゥー教には、人は死んだあと、別の人に生まれ変わる輪廻転生の考えがあり、「死」とは悲しむべきものではなく、新しい人生の始まりとして喜ぶべきもの、という考えもあります。
その考えのもと、バリ島のお葬式=火葬式は盛大に、派手に行われるのです。自分の親の火葬式を立派に行ったか、というのが、親孝行の証しとも言われます。多くの村人たちが見守る中ご遺体を村の火葬場まで運び、皆が見守る中、火葬にするいわゆる公開火葬式がバリヒンドゥーのお葬式です。
なお、バリ島の言葉バリ語には、同じ物事でも身分によっていい方が違ってきます。今回説明している火葬式も、平民(スードラ)階級の人はガベン(Ngaben)と呼び、貴族階級以上の人はプレボン(Plebon)と呼びます。
身分などによって違う火葬式事情
この火葬式ですが、大変お金がかかります。
一連の式に使うお供え物や飾り物、またお坊さんの手配や手伝ってくれる村人へのお礼などなど、大きな火葬式の場合、数千万円(!)もかかると言われています。
その土地の王家や有力者、実業家、聖職者などであれば、亡くなってからすぐに、火葬式を出すことはできますが、一般の村人には、すぐにお金をそろえる余裕はありません。そこで、行われるのがガベン・マサルという村の合同火葬式です。
ガベン・マサルは村の合同火葬式で、合同で行うことにより、村人の準備や金銭的負担が少しでも軽くなります。一般家庭の火葬式は、ほとんどがこのガベン・マサルで行われます。
一昨年行われた、ウブド・パダンテガル村の合同火葬式(ガベン・マサル)も様子
ここに並ぶのはご遺体を入れる棺で牛の形をしています。この棺も身分などによって形や色が違ってきます
ガベン・マサルは4~5年に一度行われます。それまでご遺体はどうするかというと、いったん土葬にし、ガベンの3日前に掘り起こし(!!)写真の棺に入れて火葬をします。
一方、王族や有力者などの火葬式は、亡くなってからすぐに行われます。
すぐといっても、棺やお供え物などの準備もありますし、なにより火葬式の日取りを決めなくてはいけません。そのため、火葬式は亡くなってから一ヶ月後ということも、珍しいことではないのです。
では、その間ご遺体はどうしているかというと、今はホルマリン注射をして腐敗しないようにしておくそうです。
ガベンパレード
このようにして、多くの労力とお金をかけて行われる火葬式ですが、一番の見どころはガベンパレードと言われる行進ではないでしょうか?
火葬式の行事は、火葬を行う3日以上前から行われますが、ほとんどの儀式は亡くなった方の家の中で行われます。
そして、火葬の日当日、各家庭(ガベン・マサルの場合は合同の葬儀場)から火葬場(たいていは村のお寺)までご遺体を運ぶのですが、これが日本のお神輿のように多くの人によってご遺体を入れたお棺を担ぎ、パレードを行います。これが、ガベンパレードです。
先日(5月8日)に行われたのは、ウブド王族の火葬式(プレボン)でした。王族の式ですので、ガベンパレードも大変派手なものでした。王族のお家はウブド王宮、そこから王族のお寺であるトゥプサヨ村のお寺までの約1Kmをご遺体を入れたバデ(多重塔)や火葬するためのお棺(プヌランガン)を大勢の人で担いで運びます。
王宮の火葬式に使われた牛の形のお棺。とても巨大なものです。火葬式の一週間程度前から準備されていました。王宮内には入らないため、王宮の外に設置。
火葬式当日の様子です。牛の形のお棺の後ろにそびえるのがバデと呼ばれる、ご遺体を入れて運ぶための塔です
バデの巨大で装飾がすごく美しいです
こんな巨大なお棺や塔が大通りを通りますから、通りを横切る電線や電話線は、大急ぎで撤去します。もちろん、その間周辺は停電&電話も不通となります。
こんな巨大なお棺や塔を多くの村人が担いで王宮からお寺までパレードします。沿線には多くの観光客やそれ目当ての屋台などが出て、お祭りのようなビッグイベントとなっています。
この火葬式の様子がさっそくYuTubeにアップされていました。ドローンを使った素晴らしい動画ですので、ぜひご覧ください。
火葬式を見るときの注意点
一般的に、バリ島のお寺の中に入ったり、宗教行事に参加するときは、バリ島の伝統衣装(正装)を着なくてはいけないとされています。
そのため、火葬式の際にはこのようなサロン(腰布)を売りあるくおばさん達がたくさん出没しますが、ガベンパレードを見るだけなら、正装をする必要はありません。
最後にお寺の中で火葬される様子まで見るとなると、サロンをまく程度のことは必要ですが、そうでなければ普段の服装でもまったく問題はありません。
見物は沿道ですることになりますが、人ごみがすごいので迷子になったり、スリや沖挽きなどに充分注意してください。また、お棺や塔を担いだ人たちが歩道の近くまで来ることがありますので、巻き込まれないよう気を付けてください
火葬式は、毎年行われるものではありませんので、いつ行けば必ず見られると言ったわけではありません。
が、バリヒンドゥーを代表する大きな儀式の一つでもありますので、機会があれば是非ともご覧ください。