バリ島ウブド便り

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ウブドで5年に一度のガベンがありました

9月21日にウブドのパダンテガル村で、5年に一度の合同ガベン(ガベン・マサル Ngaben Masal)が行われました。
ガベンとは火葬式の事で、輪廻転生の教えがあるヒンドゥー教において、お葬式は悲しむものではなく、次の人生への出発点と言われているそうです。
ウブドのガベンというと、大きな牛の形をしたルンブーや高いバデ(ご遺体を運ぶための多重塔)を大勢の人が担いで行うパレードが有名ですが、それは王族たちのガベン(プレボンといいます)で、今回行われたのは一般の村人たちの火葬式です。


この火葬式ですが、とにかく準備が大変。
ルンブーなどを作るのもそうですが、驚くほど大量のお供え物を作ったり、祭壇を作ったり、あるいは多くの儀式が行われるのです。お金も人でもある王族などの家なら、毎年でもガベンは出せるのですが、一般家庭はそうも言ってられません。
そこで、村で合同のガベンを行うのですが、それでも毎年というわけにはいかないので、パダンテガル村では5年に一度行われます。
その合同ガベンが行われるまで、亡くなった方はお別れの儀式を行い、一旦お墓に埋められます。
このお墓に埋められている状態では、魂はまだこの世に留まっており、ガベンを行って、初めて祖先霊として天国に行くそうです。その後、月日が経つと子孫の誰かに生まれ変わるってことですね。


さて、ガベンと言えばやっぱり見ものはパレードでしょう!
バレガンジュールと呼ばれるガムランの演奏隊を引き連れて、ルンブーなどを担いでお寺に向かう行列は、ぜひとも見ておきたいものですが、なんと今回のパダンテガル村のパレードは朝7時過ぎに行われました。
というのも、ガベンの儀式が行われるプラ・ダラムがあるのはモンキーフォレストの中。昼になれば多くの観光客を乗せたバスや車が集まる場所です。その中でガベンパレードを行えば大渋滞は必至!渋滞を避けるために、パレードは早朝行われたようです。



朝のパレードは見逃してしまいましたが、バリ島の正装に着替えて、葬儀会場であるモンキーフォレストに向かいました。



普段は駐車場として使っている場所が、合同ガベンの開場となっていました。
会場の周りは壁が作られ、2か所の出入り口があります。



そのうち一か所には、なんと観光客や外国人のためのインフォメーションができていました。
さすが、観光客の多いウブド・パダンテガル村です。
ガベンの事など知らない、一般観光客も何事かと、見に来ています。そのような方のためにインフォメーションがあるんですね。



さらに、こんな看板まで!
ガベンの儀式は12時から行われます。儀式が始まったらご遺族や関係者、招待客以外は儀式会場には入れません。ただし、儀式が始まる前でしたら、ちゃんと正装すれば、会場内を見学する事はできますよ、という事でした。
ということで、ちゃんと正装してきた私は、会場内に入れてもらえました。



今回のガベンで火葬される方の数は84名。
会場内はさながら展示会のように、ずらっとプヌランガン(Penulangan)が並んでいます。
プヌランガンとは、牛など動物の形をした張子で、ご遺体をこの中に入れて燃やすのです。



いろいろな形のプヌランガンがありますね。



こちらは、王族の火葬式(プレボン)でよく見る牡牛のプヌランガンでルンブーと言います。
カーストの高い方用の物だそうです。



こちらは赤いシンガ(獅子)です。こちらは、平民(スードラ)階級の方用だそうです。



緑の象。こちらもスードラ用です



こちらは、魚の形をしています。
大きさからみて子供用ではないかともいます。



こちらは、セイウチ?トド???


と、ここまで見ていて、ふと気が付きました。
「バデがない???」
バデとは、遺体を家からお寺まで運ぶための多重塔。

こちらは、以前行われたプリアタン王家のプレボンの時のバデですが、今回のガベン・マサルには、このバデが全然見当たらないのです。


実は、このガベンマサルには、ご遺体はないのです。
ガベンが行われる3日前、ご遺族と村の方によって、お墓に埋められていたご遺体を掘り起こしますが、掘り起こしたご遺体はすぐその場で火葬をしてしまうそうです。
で、このガベンマサルには、ご遺体の代わりに木でできたシンボルを使うそうです。



こちらは、プヌランガンの列の向こうにある祭壇です。
亡くなった方の写真の下あたりにシンボルがあるのですが、わかりますか?
このシンボルをご遺体として、お供え物をして、儀式を行い、プヌランガンの中に入れて火葬するそうです。


ちなみに、遺影の下にある番号ですが、ご遺体の数が多いので、管理するための番号なんですって。ご遺族の方も、その番号札のプレートを胸につけていました。プヌランガンやお供え物にも、その番号が書いてあり、伝統的な行事ですが、合理的な事もされているんだなぁって、感じました。


さて、ガベン・マサルはご遺体の代わりにシンボルを使うって書きましたが、例外もあります。
それは、亡くなってから日が浅い方は、お墓には埋めずに、家に安置しておき、ご遺体を当日火葬します。
ちょうど、ジュンバワン通りのご家庭でガベン・マサルの直前に亡くなられた方がいて、その方はバデを使って葬儀会場に運ばれ、儀式の後、火葬されるそうです。

こちらが、その方用のバデです。
家の中では、お別れの儀式が行われていました。


12時から儀式が始まりましたが、私は会場内に入れないので、儀式前に失礼させていただきましたが、最後まで参加された方の話を聞くと、とにかく人が多くて、暑くて大変だったそうです。
でも、5年に一度の行事ですし、ヒンドゥー教徒にとって、とっても大切な儀式ですから、しっかりと続けて頂きたいと思いました。