バリ島ウブド便り

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バリ島の宗教

「神々の棲む島」と言われるバリ島。その名の通り、バリ島の生活文化には宗教が切っても切り離せないのです。
では、バリ島の宗教ってなんでしょうか?
リピーターの方やバリ島に居実のある方はもうご存知ですね。バリ島の宗教はバリ・ヒンドゥー教です。


「え?バリ島はインドネシア共和国だから、イスラム教じゃないの?」
って、思われた方、いませんか?


インドネシア=イスラム教の国、と思われているかもしれませんが、これは間違いです。
インドネシア共和国の憲法の前文にはパンチャ・シラ(Panca Sila)という建国五原則があり、その第一条項は「唯一至高の神」となっています。インドネシア国民は何らかの宗教を信仰すべし、ということなのですが、それがイスラム教に限るというわけではありません。他の宗教でも構わないのです。
ただ、イスラム教はインドネシアの70%以上の国民が信仰している宗教であり、かつインドネシア共和国は世界最大数のイスラム教徒を有する国なので「インドネシア=イスラム教の国」と勘違いされている方も多いのですね。


さて、話をバリ島に戻しましょう。


このように、全国民の70%以上がイスラム教を信仰しているインドネシアにあって、なぜバリ島はヒンドゥー教を信仰しているのでしょうか?


◆バリ・ヒンドゥー教の歴史
いまでこそ、多くの国民がイスラム教を信仰しているインドネシアですが、インドネシア(ジャワ)にイスラム教が伝わってくるのは15世紀ごろで、それ以前はインドから伝わったヒンドゥー教や仏教を信仰していたのです。
現在でもジャワ島には世界最大級の仏教遺跡ボロブドゥール遺跡やヒンドゥー教遺跡プランバナン寺院が残っているのも、ジャワ島でヒンドゥー教や仏教が信仰されていた名残なのでしょう。


4〜5世紀ごろから、ジャワを通じてヒンドゥー教や仏教がバリ島にも伝わり、もともとバリ島にあった土着宗教と融合し、バリ島独自のヒンドゥー教がバリ島全体に広がっていきました。


16世紀になると、ジャワではイスラム勢力により、その当時ジャワ一帯を支配していた(ジャワ)ヒンドゥー教を信仰するマジャパヒト王朝が崩壊しました。そして、ジャワ一帯はイスラム教が広がるのですが、それまで(ジャワ)ヒンドゥー教を信仰していたマジャパヒト王朝の僧侶や貴族たちは、ジャワからバリ島に逃げてきました。


バリ島に逃げてきた僧侶や貴族は、自分たちのヒンドゥー教(ジャワ)ヒンドゥー教を一気にバリ島に広げました。
こうして、バリ島は、(ジャワ)ヒンドゥー教を信仰する島となったのです。


※現在バリ島で多く信仰されるヒンドゥー教は、マジャパヒト王朝時代にジャワで栄えたジャワ・ヒンドゥーが基本となっていますが、バリ・ヒンドゥー教という表現をさせていただきます。


◆バリ・ヒンドゥー教の特色
バリ島のヒンドゥー教は、インドのヒンドゥー教が、ジャワやバリ島の土着宗教と融合してできた独特の宗教です。そのため、インド・ヒンドゥーとは違った面もあります。


●儀礼と供物の宗教
バリ・ヒンドゥー教を端的に表す言葉として「儀礼と供物の宗教」が挙げられます。
それほど、バリヒンドゥーには儀礼が多く、また儀礼の度に多くの供物が神にささげられます。
供物は「チャナン」と呼ばれる、植物の葉や花などで作られたものが基本となり、毎日数回、家じゅうの至る所に奉げられます。


また、オダランという寺院のお祭りや新月、暗月、特別な祭礼日あるいは結婚式、子供の誕生日になると、果物やニワトリ、豚など多くの品物が神様に奉げられます。もちろん、そのための費用負担も大変なものになります。


●祖先崇拝
バリ・ヒンドゥーには、インド・ヒンドゥーと同じく輪廻転生の考えがあります。そのため、人が死んだ時の儀式(葬儀)は、悲しむものではなく、盛大に派手に行います。数多いバリ・ヒンドゥーの儀礼の中でも葬儀(ガベン)が最大のものではないでしょうか?
また、盛大なガベンを出すことが最大の親孝行とも考えられています。


また、祖先崇拝の考え方も強くあります。
人は死んだあと、神となって子孫を守るという考えです。これが、ガルンガン・クニンガンという宗教行事に強く表れていると思います。インドのヒンドゥー教にもこの祖先崇拝の考えはあるかと思いますが、バリ・ヒンドゥーの特徴の一つでもあると思います。


●多神教と一神教
多神教徒は多くの神々を信仰する宗教で、日本の神道も多神教です。これに対し、ユダヤ、キリスト、イスラムといった、唯一の神だけを信仰する宗教を一神教と言います。


さて、バリ・ヒンドゥーは多神教でしょうか?一神教でしょうか?
もちろん、多神教と考えますよね。バリ島にはシヴァ、ブラフマー、ヴィシュヌといった3大神をはじめ多くの神々がいますからね


ところが、実は!バリ・ヒンドゥー教は正式には一神教なのです。


インドネシアのパンチャ・シラ(Panca Sila)という建国五原則の中にある「唯一至高の神」!
これは一神教の宗教を信仰しなさいということなのです。
このパンチャ・シラが公布された時、困ったのがバリ島の人たちです。ヒンドゥー教は多神教、国に認めてもらえないのではないか、ということです。他の一神教の宗教に改宗するか、古い土着宗教を信仰する民族と言われてしまうのか?


そこで、当時の宗教家たちが考えたのが「サン・ヒャン・ウィディ」という神様です。
バリヒンドゥー教は「サン・ヒャン・ウィディ」神を崇める宗教であり、ヴィシュヌ、ブラフマー、シヴァ、といった神々はこの「サン・ヒャン・ウィディ」神の化身であるという考えです。


こうして、無事バリ・ヒンドゥー教は国に認めてもらえるようになり、多神教だが一神教という珍しい宗教ができ上ったのです。


◆バリアガ
「バリアガ」って聞いたことがありますか?
ガイドブックなどにも載っている言葉で「先住民族」という紹介をされています。
有名なところでは、バリ島東部の村「トゥガナン」や風葬の村「トルニャン」などがバリアガの村として紹介されています。


しかし、バリアガは一般的に考えられている先住民族とはちょっと違います。

バリアガとは「現在バリ島で広く信仰されている(ジャワ)ヒンドゥー教以外のヒンドゥー教を信仰する人たち」と定義してもいいと思います。
歴史の項目でも説明しましたが、バリ島のヒンドゥー教は5〜6世紀ごろからジャワを通じて伝わり、もともとあった祖先崇拝などの考えと融合してバリ島独特のバリ・ヒンドゥー教として発展しました。しかし、16世紀にジャワから逃げてきた僧侶、貴族によりジャワ・ヒンドゥー教が広められ、ジャワ・ヒンドゥー教を基にしたヒンドゥ教がバリ島のヒンドゥー教として認知されています。


しかし、トゥガナンやトルニャンでは16世紀以降広がったジャワ・ヒンドゥーではなく、それ以前からあったバリ・ヒンドゥーを今でも信仰している人たちをバリアガと呼んでいます。


ただし、このバリアガという言葉、バリ島やインドネシアの人たちがつけた名前ではありません。バリ島の宗教を研究していた外国の民俗学研究者が、同じヒンドゥー教でも地域によってかなり考え方や儀礼に違いがあることに気づき、古いヒンドゥーを信仰している人たちのことを学術的にバリアガと呼んだのです。


ざっと、バリ島の宗教について説明させていただきましたが、理解できましたでしょうか?
さらに詳しいお話や、バリ島の文化風習に関してこちらのサイトにも載せております
>>バリ島観光物知りコラム
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