バリ島ウブド便り

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インドネシア国民健康保険JKNとは?

2014年1月、インドネシア共和国では、アジア最大規模の国民健康保険制度が、スタートしました。インドネシア政府は2014年度中に国民の50%である1億2千万人の加入を、2019年度までに全国民の加入を目指しています。
この保険制度はインドネシア国民向けなので、我々外国人には関係にないものかと思っていましたが、6か月以上滞在可能なビザ(ワーキングビザやリタイアメントビザ、家族ビザなど)で入国した者も、この保険制度に加入しなくてはいけないと、言うことなので、今回いろいろ調べてみました。
なお、今回この制度を調べるに当たり、損保ジャパン総研レポートを参考にさせていただきました。
※JKNは、国民皆医療保険という意味ですが、わかりやすくするために「国民健康保険」と表記させていただいております。


いつもなら月曜日に更新するこのブログですが、今回はホットな話題ですので、土曜日に更新させていただきました


1.これまでのインドネシア健康保険について
これまで、インドネシアには、健康保険制度はなかったのか?というと、実はちゃんと存在していました。その旧医療保険制度は、以下のような複数の制度となっていたのです。

  1. ASKES:公務員や退職公務員向け
  2. ASABRI:軍人、警察官向け
  3. JAMKESMAS/JAMKESDA:貧困層向け
  4. JAMSOSTEK:民間従業員向け(中規模以上の企業は強制加入)
  5. 民間医療保険:任意


このように、以前から医療保険制度はありましたが、公務員、軍人、警察官、中規模以上の企業、貧困層と、加入している人は一部の人のみで、小規模企業、自営業、農家、無職(主婦など)向けの医療保険制度はなかったようです。そこで、今回政府は、ドイツやヨーロッパの医療保険制度を参考に、医療保険制度の一本化と全国民の加入を目指し、医療保険機関BPJS・Kesahatanを設立し、、国民皆健康保険(国民皆医療保険)JKNをスタートさせたのです。


2.保険料と補償内容について
JKN(国民健康保険)は、先の項目で説明したように、旧医療保険制度から移行しているために、「公務員・軍人」「貧困層」「民間従業員」「インフォーマルワーカー」といった、対象者クラスにより保険料や補償内容がかわってきます。
今回は、私たち外国人在住者が対象となる「民間従業員」「インフォーマルワーカー」について保険料と補償内容を説明します。


補償内容ですが、すべての検査、診療、入院治療、薬代が保険でカバーされます。つまり、加入者の医療負担費用は「0」ということです。
ただし、保険料や対象者クラスによって入院した時の病室がクラス1〜3に分かれます。クラス3は一般病棟の大部屋、クラス1は個室と思ってください。BIMCなどにあるVIPルームはこの保険の適応外となります。


◆民間従業員
民間従業員とは、会社組織内で仕事をしている人のことで、ざっくりというと「ワーキングビザ」で滞在している在住者が対象といえます。また、会社で雇っているインドネシア人スタッフもこの対象者クラスになります。


保険料は月給(基本給)の4.5%で、4%を会社が0.5%を従業員が支払います。たとえば月給が5Juta(Rp5.000.000)の場合、月々の保険料はRp225.000で、そのうちRp200.000は会社がRp25.000は個人が負担します。
補償内容は、医療費は全額保険がカバーします。つまりキャッシュレスということです。入院する場合の病室はクラス1か2になります。


◆インフォーマルワーカー
インフォーマルワーカーというのは、会社組織以外で仕事をしている人(個人事業者)や無職の方です。外国人はビザの関係で会社組織以外で働いている人はいないはずなので、このクラスに分類される方は「リタイアメントビザ」などで滞在している方です。外国人の場合、無職(無収入)の方ということですね。


保険料は、3つのクラスに分かれます。
クラス1は、Rp59.500/月、クラス2はRp42.500/月、クラス3はRp25.500/月となります。
補償内容ですが、医療費はすべて保険がカバーします。入院した場合の病室が、保険料のクラスにより変わってきます。保険料がクラス1ならクラス1の病室(個室)へ、保険料がクラス3ならクラス3の病室(大部屋)となります。外国人なら、まずクラス1(Rp59.5000/月)への加入となると思います。


3.保険適応範囲
JKNは、加入者の配偶者および3人までの子供までカバーします。


家族ビザ(インドネシア人の配偶者、あるいはワーキングビザで滞在している外国人の家族)で滞在している外国人の場合、配偶者がJKNに加入していれば、その保険でカバーされるという事ですので、あえてJKNに加入する必要はないかと思います。(ただし、ケースバイケースで加入が必要となることもありますので、各自ご確認ください)


4.実際の保険利用方法
日本の健康保険の場合、保険制度に加盟している病院、個人医院なら、どこへ行っても保険が適応されます。つまり、病院を個人が選択できるフリーアクセス制度です。しかし、インドネシアのJKNは、加入者が利用できる医療機関は、政府が運営する公立病院、地方政府が運営する保健センター(Puskesmas)、そしてBPJSと提携した私立病院や個人医院です。


JKNに加入する際、加入者はこれら利用可能な医療機関のうち、自分の都合がいい機関を選択し、医者の診察が必要になったとき、その選択した医療機関(一次診察機関・Primary Care)に出向いて診療を受けます。そして、その一時診察機関では対応できない場合、紹介状を書いてもらい、大きな病院や高度治療ができる私立病院などに行きます。
ただし、夜間や緊急を要する場合は、この一次診察機関ではなく、24時間対応をしている私立病院に直接出向いてもよいとなっています。
これら医療機関での診療、入院にかかる費用はすべてJKNが負担し、加入者は支払う必要がありません。


もし、BPJSと提携していない私立病院(たとえばクタのBIMCやSOSなど)で診療を受ける場合は、保険は適応されず、全額個人負担となります。


5.保険加入手続きと保険料の支払い
JKNへの加入ですが、外国人は来年の1月末までに加入するよう、入国管理事務所(イミグレ)からビザエージェントを通じて通達が来ております。
エージェントを使ってビザの取得や管理をされている方は、エージェントより「加入してください」という話があると思いますが、個人でビザ取得をされている方は、JKNに加入していないと、ビザの延長などができなくなる可能性もあるので、早めにJKNに加入してください。


加入はBPJSの事務所に出向いて行います。必要なものは、パスポートとKITASだそうです。
しかし、このBPJSの事務所というのは、デンパサール、タバナン、クルンクン、ギャニャール、バドゥン、バンリ、カランガッサムにあるそうです。
詳しくはBPJSのWebサイトをご覧ください。加入登録もこのWebサイトからできるそうです。


月々の保険料の支払いは、BPJSの事務所でもできますが、BNI,BRI、Mandiri銀行のATMでもできるそうです。
また、保険料の支払いは毎月10日までで、遅延した場合はペナルティーが付くそうです。


今回は、インドネシアの国民健康保険(国民皆医療保険)JKNについて説明しました。リタイアメントビザの方や、家族ビザでインドネシアに滞在している方は、このJKNへの加入だけでOKなんですが、バリ島で会社を経営されている方、会社組織内で働いている方は、JKNの他にBPJS・Ketengakerjaanという組織が運営管理しているJKKという保険にも加入しなくてはいけません。
このJKKについては、また次回ブログで・・・