バリ島で働くには?~就労ビザとKITASのお話
バリ島を訪れる日本人の中には
「バリ島で暮らしたい」「バリ島に移住したい」
と考えている方もいらっしゃると思います。
定年後のリタイアメント生活とか、働かなくても食べていける蓄えや収入源がある方は別として、そうでない方がバリ島で暮らすには仕事をしなくてはいけません。
もし、バリ島で何らかの仕事をして収入を得る、つまり就労をするのでしたら、就労ビザ(労働ビザ、ワーキングビザ)が必要となります。
今回は、この就労ビザなどについてお話をしたいと思います。
ただし、ビザなどの取得方法については、大変複雑で専門的な話となります。私も専門家ではなく、ネットやビザエージェントから聞いた話をまとめていますので、間違いや勘違いがあるかもしれません。また、細かい規則、ルールがよく変わりますので、情報が古くなっているかもしれませんので、ご了承願います。
<目次>
バリ島で働くのに必要なもの
ビザ、労働許可、居住許可が必要です
バリ島で働くためには、簡単に言うと「ビザ」「労働許可」「居住許可」の取得が必要です。
ビザ(査証)とは、外国人が入国するために必要な資料の一つです。入国目的によって、数種類のビザがありますが、長期間滞在する場合は、入国する前に「暫定居住ビザ(312)」を取得しなくてはいけません。この「暫時居住ビザ(312)」も居住目的によって分類されていて、就労目的で取得する「暫時居住ビザ(312)」を「就労ビザ(312)」と言われています。
労働許可はIMTAと呼ばれており、英語ですと「ワークパーミット(Work Permit)」と言います。文字通り、外国人のインドネシア内での労働(就労)を許可するものであり、この許可をとらずに就労したら「違法就労」となります。(逮捕されます)
居住許可ですが、これはインドネシア内での長期間滞在の許可で、ITAS(暫時居住許可)と呼ばれています。KITASというのを耳にしたことがあるかもしれませんが、KITASとは「暫時居住許可証」のことで、ITASがあることを証明する携帯カードです。ITASを取得すると2か月以上の滞在が許可されます。
今年度よりKITASはE-KITASという電子式に変わり、カード状のKITASの新規発行は廃止されました。
また、就労ビザとITASを混同される方がいますが、ビザは「入国するために必要な書類」であり、ITASは長期間滞在するために必要な許可です。就労ビザだけですと30日間しか滞在はできませんが、ITASを取得することにより60日以上の滞在が可能となります。
この後で説明しますが、業種、役職、学歴、能力などによって労働許可(IMTA)の有効期限が2か月~1年と変わってきます。2か月のIMTAしか取れなかった場合ITASも2か月しかとれません。
まとめますと、バリ島で働くには「就労ビザ」「IMTA(労働許可)」「ITAS(居住許可)」が必要ということ。本当は他にも必要な許可や届け出がたくさんありますが、この3つが基本となりますので、よく覚えておいてください。
就労ビザを取るには会社が必要
ソシアルビザや家族ビザ、リタイアメントビザなどは個人で取りますが、就労ビザの取得には会社組織が必要です。
インドネシアが外国人の労働を認めているのは「外国資本の参入」と「外国人からの技術スキルの習得」が目的ですので、会社組織内での労働しか認めておりません。
つまり、バリ島で働くには既存の会社に入社するか、自分で会社を興す(起業する)してその会社組織内に入るしか方法はありません。自分ひとりだけで就労ビザを取ることはできないのです。
会社に就職するには学歴・能力が必要
外国人に許可されている仕事(役職)は基本的に
- 取締役(Direktur)
- 監査役(Komisaris)
- マネージャー(Manager)
- アドバイザー(Advisor)
です。そして、会社が外国人を雇用する場合、以下の条件を満たすことが義務つけられています。
- 役職に応じた学歴(取締役、監査役は除く)
- 役職に従った能力、あるいはその役職での5年以上の就業実績(取締役、監査役を除く)
- 納税者番号の取得
- インドネシアの保険に加入
- 国家社会保障への加入
入社する会社で取締役や監査役になれるのでしたらいいのですが、そうでなければ、会社の業種や個人の学歴、能力(スキル)によって、IMTAがおりなかったり、労働許可期間が3か月とか半年と短期間になったり、延長ができなかったりと制限されることがあります。
特に学歴に関しては、大卒でしたらそれほど問題はないのですが、短大、高専卒ですと半年限定になることがあります。さらに、高卒、専修学校卒ですとIMTAが降りない事もあります。ですので、現在ほとんどのバリ島での求人は大卒以上となっています。
また「役職に従った能力、あるいはその役職での5年以上の就業実績」という項目があります。雇う外国人にその職務を全うできる能力があることを証明しなくてはいけないのですが、ひとつは資格や免許。そしてその役職での5年以上の就業実績の証明となります。
就労ビザ、KITAS取得のプロセス
では、インドネシア籍の会社が外国人を雇うことになった場合、どのようなプロセスで就労ビザやKITASを取得するのかをざっと説明していきます。
記事の最初で述べたように、プロセスや必要書類はよく変わりますので、現実と違うこともありますからご注意ください
1)外国人雇用計画書(RPTKA)の策定と承認
まず、企業が外国人を雇用しようとした場合、その企業がこの雇用計画書を労働省に提出し、雇用計画を承認してもらいます。現在この計画書の提出、承認はオンラインシステムにて行われております。
雇用計画書には外国人がつこうとしている役職や職務内容、賃金、雇用人数、雇用期間、労働地区、雇用開始日、外国人につくインドネシア人の教育計画など多くの事を立案しなくてはいけないそうです。
2)各外国人労働者の労働許可(IMTA)の取得
RPTKAの承認がされたら、雇用する外国人ごとに、労働許可(IMTA)を取得します。IMTAはオンラインシステムにより、労働省に提出され、許可を取ります。
労働許可期間は、企業の業種、雇用者の役職、学歴、能力などにより、最長1年で決定されます。通常は1年間になりますが、学歴や業種などによっては6か月、3か月となる場合もあります。
3)外国人労働雇用補償金(DKPTKA/DPKK)の支払い
外国人を雇用する企業は、DKPTKA(以前はDPKKと呼ばれていて、今でもDPKKということがあります)を支払わなくてはいけません。DKPTKAは、インドネシア人労働者の能力開発などに使用され、外国人労働者1名につき、毎月$100支払います。
4)ビザ発給許可申請
IMTAの許可が下りて、DKPTKAの支払いが済むと移民管理局にビザ発給許可書の申請を行います。このビザ発給許可書(VTT)は昔はテレックスによって送られてきたので「テレックスビザ」とも呼ばれています。(現在はオンラインで送られてきます)
5)就労ビザ(312)の取得
VTTが発給されたら、必要書類を持って、インドネシア国外のインドネシア大使館にて就労ビザ(312)を発給してもらいます。
日本にもインドネシア大使館はありますので、日本での発給も可能ですが、多くの外国人労働者はお隣の国、シンガポールでビザを取得してきます。
ビザ取得の日数は通常3日間ですが、シンガポールの場合専門のエージェントに依頼することで、即日発給が可能です。
6)KITASなどの申請
就労ビザを取得して、バリ島に到着したら、7日以内に入国管理事務所にてKITAS申請を行います。
KITASが取得できたら、その後
- 警察への外国人登録報告(STM)
- 州への住民登録(SKPPS)
- 居住地区の住民登録証(SKTT)取得
- 個人納税者番号(NPWP)取得
- 外国人労働者着任報告(LKOA)
といった手続きを行い、やっと仕事が始められるということになります。
就労ビザ・KITAS取得に必要な書類
ビザ、IMTA、ITAS取得に必要な書類を説明します。
ただし、これはビザエージェントから要求された書類のみで、実際は他にも多くの書類、申請書が必要となります。ビザエージェントに一連の業務を委託した場合、必要な書類、申請書はエージェントが作成します。
会社側が準備する書類
- 会社の所在地証明書(SKTU)
- 取引免許証(SIUP)
- 会社登記簿(TDP)
- 会社の納税者番号(NPWP)
- 営業許可証(Akte pendirian usaha)
- 司法大臣証明書(Pengesahan mentari kehakiman)
- 外国投資の承認書(SP PMA)
- ディレクトール(取締役)の身分証明書(KTP Direktur)
- 現地スタッフ(アシスタント)の写真と身分証明書
- 会社のレターヘッド
- 会社登録印
就労ビザ申請者が準備する書類
- パスポートのコピー(注意)
- 英文履歴書(CV)
- 最終学歴卒業証明書(英文)
- 健康保険証
- 背景が赤の証明写真(注意)
- 居住証明書
- 貯金通帳のコピー(注意)
- 業務証明書(working reference)(注意)
★注意事項
- パスポートは残存有効期限が18か月以上で白紙ページが3ページ以上残っているものが必要です。
- 最近は、各種申請をオンラインで行うので、証明写真や各種書類はスキャンしたデーター(jpegデーター)で提出を求められます。
- 預金通帳のコピーは、米ドル1500(相当)以上の預金残高が必要です
- IMTA承認の検討項目として「その役職での5年以上の就業実績」という項目があります。5年以上の就業実績を証明するために、業務証明書(working reference)の提出を依頼されることがあります。(学歴や資格などにより、不要な場合もある)
今回は、バリ島で働くためのビザなどについてざっと説明させていただきました。
かなり複雑で面倒な手続きであり、また外国人が海外で働くにはいろいろ規制があることもご理解いただけたと思います。
注意:当社では、就労ビザをはじめ各種ビザの取得代行は致しておりません。今回はネットやビザエージェントから聞いた情報をまとめて掲載せて頂いただけでございます。内容に間違いや抜けなどもあるかと思いますので、ご了承くださいませ。
今回の記事を作成するにあたり、多くのWebサイトを参考にさせていただきました。特にJETRO(日本貿易振興機構)のサイトには、インドネシアの基本情報やビジネス情報、ビザや投資に関して、非常に詳しい資料がありますので、ご覧になられることをお勧めいたします。
また、インドネシア・バリ島での投資や会社設立を考えられている方は、BKPM(インドネシア投資調整庁)日本事務所が東京都千代田区にありますので、そちらでご相談されたらいいかと思います