読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

バリ島ウブド便り

神々の棲む島・バリ島ウブドに在住のベベッがバリ島生活の中で体験した事や感じた事をまとめたブログです

ブログランキングに参加しています。こちらのボタンをポチッとお願いします。

チャロナラン劇

チャロナラン劇は、ギャニャール県を中心としたバリ島南部エリアのみで見られるバリ島の伝統舞踊の一つです。

伝統舞踊というと、ケチャダンスやレゴンダンスなど、華やかな踊りをイメージされると思いますが、チャロナラン劇はそのような伝統舞踊より、もっと宗教的要素の強い舞踊劇です。

 

<目次>

 

f:id:balitravel:20160427124145j:plain

チャロナラン劇の生い立ち

チャロナラン劇が初めて上演されたのは1890年ごろ、現在のギャニャール県バトゥブラン村と言われています。

当時、バリ島は各王家間の争いが絶えず、またコレラの蔓延で村人たちは大変困っておりました。
悪いことが起きると、バリ人達は「善と悪のバランスが崩れている」と考えます。そこで、たくさんの供物と新たな芸能をシワ神(シヴァ神)とその妻でありシワ神の破壊的側面であるドゥルガ神が降臨するダラム寺院(プラダラム)に奉納し、この災いを納めてもらおうと考えました。

悪霊たちに落ち着いてもらうには聖獣バロン(善)と魔女ランダ(悪)の果てしない戦いを描いた劇がいいだろうということで、当時すでにワヤン・クリッ(影絵芝居)で上演されていたチャロナラン伝説が選ばれました。

チャロナラン劇のあらすじ

チャロナラン劇の基となったチャロナラン伝説とは11世紀にジャワ島で栄えていたクディリ王朝にまつわる物語です。

クディリ王家のお后チャロナランは破壊的魔力を持っているということから国王に宮殿から追放され森の奥深くに住んでいました。
ある日、チャロナランの下に国に残してきた愛娘の縁談がご破算になったという知らせが届きます。ご破算になった原因は、魔力を持つ后の娘だからということを聞いたチャロナランは王国を呪い、疫病をはやらせます。

后の息子である国王は大臣を通じ聖者ウンプー・バラダに相談したところ、「禍のもとはチャロナランである」と告げられます。
さっそく、チャロナランの住む森に兵を送りますが、強い魔力によって兵は全滅してしまいます。チャロナランはやがて墓を掘り起こし、子供の遺体を食べるという奇行を始め、国民達は怖れおののきます。

聖者ウンプー・バラタは、チャロナランの魔力の秘密を探り、自ら戦いに挑みます。力が拮抗しているチャロナランとウンプー・バラタの戦いは決着がつきません。
ウンプー・バラタは善の象徴と言われる聖獣バロンに、チャロナランは悪の象徴と言われる魔女ランダに変身し、いつ果てるともわからない、永遠の戦いを続けます。

最後にチャロナランは無意味な戦いに涙し、聖者ウンプー・バラタはチャロナランに安息の地を約束し、こうして王国に平和が戻りました。

実際のチャロナラン劇は

ざっと、チャロナラン劇の生い立ちやあらすじを説明しました。
本来、チャロナラン劇はその土地の無病安息を祈願して行われる、奉納舞踊です。もちろん、現代もその意味合いが強い舞踊ですが、時代とともに、各地での特色を反映したものに変わりつつあります。

現在行われているチャロナラン劇には、途中で漫才のようなお笑いが入ったり、ビデオプロジェクターが使われたり、CGを使うところも出てきました。

特に、最近のお約束は途中の漫才です。おどけた化粧をした演者が出てきて、おかしなお話をするのですが、お話はすべてバリ語(バリ島独自の言葉)なので、旅行者には何を話しているかはさっぱりわかりません。周囲の観客には、どっと受けているので、かなりおかしなお話をしていると思い、何を話しているのか友人に聞いたところ・・・

これが、まぁ下世話なスキャンダルばかりだそうです。

おえらいさんが来るような、大きな公演ですと、政治の話や、役人への愚痴などが多いそうですが、村人ばかりの公演ですと、浮気や不倫といった下世話話ばかり。中には、下ネタも多いということでした。

チャロナラン劇を見るときの注意点

外国人観光客でもチャロナラン劇を見ることはできますが、何点か注意しなくてはいけないことがあります。

正装しなくてはいけません

劇といっても、宗教行事の一環ですので、ちゃんとバリ島の伝統衣装に着替えなくてはいけません。
男性は、サロン、スレンダン、サブッ、ウダンをつけ、女性はクバヤ、サロンを着ます。もちろん、事前にマンディを忘れずに

途中で帰ってはいけません

実はこのチャロナラン劇は、夜の9時頃から始まって、終わるのが深夜の1時から2時ごろと大変長いお芝居です。途中、バリ語の漫才もあり、言葉のわからない観光客はなかなか、最後まで見るのは大変だと思います。

しかし、劇の途中で帰ってはいけない、と言われています。途中で変えると悪霊に取り付かれるそうです。特に、墓場から死体を運び出すシーンがあるのですが、そのシーン以降は絶対に帰っちゃダメ、と言われています

トランスに入ることがあります

演者の中にはトランス(バリ語でクラウハン)に入る人がいます。

たとえば、ランダと兵士の戦いの中で、ランダの魔力で兵士たちが自分の胸に剣を刺す場面がありますが、トランスに入り本当に胸に剣を突き刺し血だらけになってしまう人もいます。

ランダの衣装(お面)の中には霊力が強いものがあり、かぶった瞬間から演者はトランス状態に入り、終わるまで全く意識がなかったという話も聞かれます。

また、観客の中にもトランスに入り、奇声をあげたり失神したりする方もいるそうです。

外国人でトランスに入る人はあまりいないようですが、注意してください。

チャロナラン劇を見たいのだけど

チャロナラン劇は観光客向けの演劇ではないため、公演の情報が出ることはありません。ただし、地域のお寺(プラ・ダラム寺院)のオダラン(お寺のお祭り)の際に公演されることがよくありますので、まずはオダランの情報を収集されるといいでしょう。

プラダラム寺院のオダランの日程がわかったら、その地域に住む方にチャロナラン劇があるかどうか聞いてみて、あるようでしたら、ぜひ見たいので連れて行ってほしいとお願いするといいかと思います。

ただし、すでにご案内したように、夜遅くから深夜、場合によっては明け方まで続く公演ですので、それなりの準備をしていってください。

 

チャロナラン劇を見たいけど、そんなに時間が取れない、とか、スケジュール的に無理というのでしたら、バロンダンスを見ましょう。
バトゥブランやウブドで毎日のように公演があるバロンダンスは、このチャロナラン劇を観光客向けにアレンジしたものです。観光客向けですので、奉納や祈りの要素は少なくなっていますが、内容はチャロナラン伝説にのっとった、ダイジェスト版のようなものですので、まずはこちらをご覧になることをお勧めします。