バリ島ウブド便り

バリ島ウブド便り

バリ島現地旅行会社・バリ島旅行.comの公式ブログです。バリ島ウブドからバリ島旅行や観光に関する情報などをお届け。投稿記事には広告も含んでおります。

ブログランキングに参加しています。こちらのボタンをポチッとお願いします。

もう一つの保険JKKについて

前回のブログで2014年1月から始まったインドネシア国民皆医療保険JKN(Jaminan Kesehatan Nasional)についてお話をしました。
その最後にちょっとだけお知らせしたJKK(Jaminan Kecelakaan Kerja )について、今回はお話ししようと思います。


◆JKKってなに?
Jaminanとは「保障・保険」という意味。
Kecelakaanとは「事故・アクシデント」、kerjaとは「労働・仕事」という意味です。
直訳すると「労働事故保険」、日本風に言うと「労働災害保険=労災」といったものです。


◆どんな人が加入するの?
日本の労災と同じ考えで、会社組織などで働く従業員(労働者)が対象の保険です。
加入義務があるのは、会社組織で働く人で、リタイアメントや家族ビザ(婚姻ビザ)で非就労者は、加入できない(しない)保険になります。
また、個人事業者や農業など会社組織外での労働者はどうなるのかは、ちょっとわかりませんが、ビザの関係で日本人を含む外国人が働く場合、会社組織外の就労はあり得ないので、バリ島で就労する人は、すべてこのJKKにも加入しなくてはいけないと考えて差支えないと思います。


◆保険料はいくら?
このJKKの保険料は、本給の6.89%です。
そのうち、4.89%は会社が2%は本人負担します。
たとえば、月給が5jutaの方の場合、会社負担がRp244.500/月、個人がRp100.000/月の保険料となります。


◆保証はどうなるの?
このJKKは、3つの保険(保障)から成り立っています。


1)JKK(Jaminan Kecelakaan kerja)
労働事故補償で、事故やアクシデントによる怪我の医療費を保証します。
保証は100%、つまり完治するまでにかかった医療費を全額保証してくれます。ただし、JKNのように、キャッシュレスではなく、医療費の領収書を提出して、その後返金してもらうシステムです。
また、JKNのように、指定病院はないそうです。


2)JKM(Jamian Kematian)
死亡保障だそうです。詳しい内容は、聞きそびれましたが、事故による死亡時に降りるそうです。


3)JHT(Jamian Hari Tua)
養老積立金だそうです。
リタイアなどにより、仕事を辞めるとき、返金される積立金だそうです。
外国人が、仕事を辞めて国に帰る時も、このお金は返金されます。


先ほど説明した保険料(本給の6.89%)のうち、JKKは0.89%、JKM0.3%、JHTは5.7%に振り分けられます。
保険料6.89%は高いなぁと、思われたかもしれませんがそのうちの大半はJHT(養老積立金)で、リタイア時に返金される貯金のようなものですので、実質の保険料はそれほど高いわけではありません。


◆加入手続きは?
JKKへの加入手続きは、BPJS Ketenagakerjaan という組織の窓口で行います。JKNを運営しているBPJS Kesehatanとはまた別の組織になります。
手続きには、従業員一人一人の加入申請書や、会社の登記簿(イジン)、従業員一覧表など多くの書類が必要で、また従業員の退職、新規採用の際も変更届を出さなくてはいけません。かなり、面倒な作業になると思いますが、多くの企業では専門部署(人事・経理部門)をおき、対応しているそうです。


◆加入実績は?
2014年から始まった、インドネシアの健康保険、すでに全国民の半数に当たる1億2千万人の人が加入しており、2019年度中に全国民の加入を目指しているそうです。
でも、この話ちょっとおかしいと思いませんか?
今年の1月から始まり、1年足らずで全国民の半数が加盟したのに、残り半数を加盟させるのに5年近くかかるとは・・・


実は、前回のブログで説明したように、以前から一部階層の人たち向けの保険があったのです。
それは、公務員向けのASKES、軍人向けのASABRI、貧困層向けのJAMKESMAS、民間人向けのJAMSOSTEKといった保険。
この保険に加盟していた人たちは、自動的にJKN,JKKに移行したので、1年足らずで1億2千万人の人が加盟となったのです。


今後、加盟していかなくてはいけない人達はこれまでそのような保険に加盟していなかった人たち。そのような人たちの中には、保険というものが理解できない人、あるいは疑っている人、非協力的な人などもいます。
このような人たちに、理解させ、加入させるのはかなり大変なことだと思います。
だから、まずは、会社組織や外国人達から加盟させようとしているのでしょう。


アジアエリアでも最大規模となる国民医療保険制度、これからのインドネシア共和国の発展、国民生活の充実には必要不可欠な制度だと思います。大変な事もあるかとは思いますが、ぜひとも充実させていってほしいと思います。