バリ島ウブド便り

神々の棲む島・バリ島ウブドに在住のベベッがバリ島生活の中で体験した事や感じた事をまとめたブログです

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バリ島はお葬式の季節です

7月も終わり、乾季も真っ盛りな季節となりました。今年は、異常気象なのか朝晩、雲が出たり時折雨が降ってくることもありますが、抜けるような青空と、さわやかな風が吹く、一年でも最も過ごしやすい季節です。


この季節、バリ島の至る所でお葬式を見ることができます。そう、この季節はお葬式の季節なのです。
と書くと「この季節は、たくさんの人が亡くなるのかな?」なんて、思われるかもしれませんが、そういうことではないのです。
日本でも、「友引の日はお葬式は避けた方が良い」と言われるように、お葬式に適した日、そうでない日がありますよね。それと同じようにバリ島の宗教、バリ・ヒンドゥー教にも、お葬式を行ってよい時期、そうでない時期があり、ちょうど今の時期がお葬式に適した時期なのです。


バリ島のお葬式と言えば「ガベン(プレボン)」と言われる、盛大な火葬式が有名ですね。
バリ・ヒンドゥー教には、「輪廻転生」の教えがあり人の魂は肉体が朽ちても永遠に不滅であり、また別の人となって復活すると信じられています。そのため、お葬式は故人とのお別れという悲しむべきものではなく、新たな人生の門出として祝いものだと言われています。
人が生まれてから死ぬまでには幾つもの儀式(通過儀礼)を受けますが、このガベンが最後で最大の儀式であり、盛大なガベンをあげることが最大の親孝行とも言われています。そのため、ガベンの儀式は年々盛大になって行っているそうです。


一般にメディアに紹介されているガベンは、数多くある儀式の中の一つ、ガベンパレードです。

このように、派手に飾りつけられたバデ(ワダー)という多重塔を模した神輿の中に、遺体は載せられます。

これは、ちょうど遺体をパデに載せているところです。

そして、パデと一緒に、プヌランガンと呼ばれる張り子のお棺がプラダラムというお寺に運ばれます
写真の黒い牛がプヌランガンです。バデやプヌランガンは、この写真のように多くの村人によって担がれて、プラダラムに運ばれます。

プラダラムに運ばれた遺体は、バデから降ろされプヌランガンに入れ、火葬されます。もちろん、人々が見守る中での火葬となります。


プラダラムで火葬された遺骨は、高僧により清水で清められた後、川や海に流しに行きます。
その後、ブサキ寺院にお参りに行き、死者の霊は祖先霊となって家寺に戻ってきます。


このように、ガベンと言われる火葬式は大変盛大なもので、準備にもすごい時間と労力とお金がかかります。
人が亡くなるたびに、このような盛大な儀式を行うなんて、なんて大変なんだろう、と思われうかもしれませんが、これまで紹介した火葬式は、すべて身分が高い方々のものばかりです。数年前に行われた、元ウブドの王様の火葬式(身分の高い方の火葬式はガベンではなくプレボンと言います)には、2カ月近い準備期間と数千万円の費用がかかったと言われています。
一般の人たちが、こんなに盛大な火葬式を行うには、無理があります。
そこで、一般の人たちは、村で合同の火葬式を行います。これをガベン・マサルと言います。


ガベン・マサルは村によって違いますが、おおむね4年から5年に一度行われます。その間、ご遺体は一旦土葬され、ガベンが行われる数日前にお墓から掘り起こされます。

こちらが、昨年行われたウブド・パダンテガル村のガベン・マサルの様子です。プヌランガン(お棺)もそれほど大きなものではありません。
朝、自宅からプラダラムにご遺体とプヌランガンを運び、合同で葬儀を行います。

ご遺体と言っても、亡くなってから土葬をしていたので、ほとんどが白骨化しておりますので、ご遺体そのものではなく、故人をシンボル化した物をご遺体として火葬します。
村合同の火葬式といっても、準備には1カ月近くかかりますし費用負担も結構かかるそうです。しかし、そこまでしても盛大な火葬式を執り行うのは、バリ・ヒンドゥー教の教えをしっかり守っているバリ島の人々ならではのことだと思います。


さて、時々お客様から尋ねられることに「火葬式って泣いちゃいけないって聞くけど、遺族は悲しくないんですか?」という質問があります。
確かに、火葬式は新たな人生の門出なので、涙は禁物と言われています。
しかし、ご遺族やご友人たちは悲しいに決まっています。
実は、故人がなくなると、火葬式の前に「別れの儀式」という儀式があります。日本のお葬式に近い儀式で、近親者や縁者が集まり、故人とのお別れをする儀式です。この儀式が済むと、土葬をされたり、火葬式までご遺体を安置しておくのです。
つまり、日本でいうお葬式は、亡くなった直後に行っているのです。
また、実際に火葬式を経験した方に聞きますと、別れの儀式もそうですが、とにかくお供え物を作ったり、お手伝いの方のお世話をしたりと、ご遺族にはやることがいっぱいあって、悲しんでいる余裕がないそうです。


このバリ島の火葬式、見る人によっては、なんと非合理的な、と思えるかもしれませんが、バリ・ヒンドゥー教徒とって、最も大切な儀式の一つですので、いつまでもしっかりと引き継いでもらいたいと思います。