バリ島ウブド便り

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風葬の村トゥルニャン(Terunyan)

風光明美でバリ島観光でも人気のスポット・キンタマーニ高原。
このキンタマーニ高原から見渡すバトゥル山とバトゥル湖は素晴らしいものです。


キンタマーニ高原のペネロカン村から湖に向けて道路を下ると、トヤブンガ村。温泉などもあり、有名な観光地ですが、そのトヤブンガ村からバトゥル湖を挟んで対岸にあるのが、今回ご紹介するトルニャン村(Terunyan)です。


トルニャン村は「バリアガ(※)」の村として有名ですが、世界的には「風葬の村」として知られています。風葬とは、亡くなった方を土葬や火葬にせず、地面の上に寝かせておき、自然に腐敗、白骨化させる葬儀の方法です。
また、白骨化した骨は埋めることなく、墓場の周囲に並んでおり、その情景から多くの外国人観光客の興味の的となっています。


風葬、ということで村は死臭や腐敗臭が酷いのではないか?と思われがちですが、意外と悪臭は漂っていません。その理由がタルムニャンと言われる香木の力です。
このタルムニャンと言われる木から良い香りが発生し、遺体の死臭や腐敗臭をかき消すそうです。



このタムニャンとトルニャン村に関して、こんな昔話があると知人が教えてくれました。


昔々、スラカルタの国の3人の王子と一人の王女がどこからか流れてくる素敵な香の正体を突き止めようと、旅に出ました。
長い旅の途中、幾多の困難があり、他の王子、王女と別れ一人になった長男の王子は、バトゥル湖のほとりでタルムニャンの木の下に座っている美しい女神を見つけました。その、タルムニャンの木が探し求めていた、よい香りの元だったのです。
美しい女神に夢中になった王子は求婚し、無事女神と結婚して、ラトゥ・シャワティ・バンチェリン・ジャガドという称号を授かり、トルニャン王国を興したのです。
タルムニャンの強い香りにひかれて他国から侵入者が攻めてくる事を恐れた王子は遺体を地に埋めず地面に寝かせるだけにするよう命じました。そのことにより、タルムニャンの強い香りは、トルニャンから外に出て行かなくなったそうです。


さて、このトルニャン村ですが、古くから知られた村なのですが、あまりおススメできる観光地ではありませんでした。
というのも、村に行くにはバトゥル湖を渡っていくか、山の中のけもの道を通るしか方法がありません。大半の観光客はトヤブンガ村から渡し船でトルニャン村に行くのですが、その渡し賃のトラブルが多発していました。
また、トルニャン村もこれと言った産業がなく、現金収入は観光客からしかないので、ちょっとしたことでも金銭を要求され、中には金品をすべて取られたというトラブルもありました。
そのため、村を訪れた観光客からの苦情も多く、バリ島の旅行会社はあまりトルニャン村への観光はおススメしなかったのです。


ところが、最近トルニャン村に通じるトンネルが開通し、村へのアクセスも良くなり、トルニャン村ももっと多くの観光客に来てもらいたいと言う動きがあって、かなり良くなったと言われています。
村に入るには入村料を払うのですが、村内ではそれ以外に金品をねだられることはなくなったそうです。
(小さな子どもたちのおねだりは、相変わらずあるそうですが・・・)


数少ない観光客に金品をねだるよりも、もっと多くの観光客が安心して来られるようになれば、より収入も増えて村も発展すると考えたようですね。
これまで、外部の人々を寄せ付けないような雰囲気があったトルニャン村ですが、これからは多くの観光客を誘致し、村民が平和に豊かに暮らしていけるようになっていけばいいですね。


※バリアガ
バリアガとは「バリ島先住民族」と紹介している文献もありますが、ちょっと意味合いが違います。


昔、バリ島にはジャワ島を経由してヒンドゥー教文化が入ってきました。もちろん、それ以前にもバリ島には住民がいて古くからの宗教を信仰していたのですが、新しく入ってきたヒンドゥー教と古くからの宗教がまじりあって現在のバリ・ヒンドゥーが生まれました。
古くからの宗教から現在のバリ・ヒンドゥーに変わっていく経過の中で今のバリ・ヒンドゥーとはちょっと違った宗教も生まれました。
その、今のバリ・ヒンドゥーとはちょっと違った宗教を今も信仰している人たちを、外国の文化研究者たちが「バリアガ」と名付けました。


バリアガが信仰している宗教は、バリ・ヒンドゥーとはちょっと違うと書きましたが、その違いはお祈りのやり方や、お供え物の方法などほんの些細なもので、バリアガの村に住んでいる人たちは、他の地域に住んでいる人たちと、大きな違いはありません。